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Doxy PEPで性感染症リスクを大幅に軽減!知っておくべき全知識
性感染症のリスクに不安を感じたことはありませんか?性感染症は、早期発見・早期治療が重要ですが、感染リスクを事前に減らすことができれば理想的です。
そこで、性行為後の予防策として「Doxy PEP(ドキシペップ)」が注目されています。Doxy PEPは、抗生物質のドキシサイクリンを服用し、クラミジアや淋病などの細菌性性感染症を予防する方法です。
本記事では、Doxy PEPの効果や副作用、服用方法、注意点について詳しく解説します。Doxy PEPを正しく理解し、適切に使用することで、性感染症のリスクを大幅に減らし、自身とパートナーの健康を守りましょう。
Doxy PEPとは性感染症を防ぐ緊急時に服用する薬
Doxy PEPとは、抗生物質の一種である「ドキシサイクリン」を服用することで、細菌性の性感染症を予防する方法です。性行為によって感染する可能性のある細菌の増殖を抑えることで、性感染症を防ぐことが期待できます。
Doxy PEPは主に緊急時に服用する薬で、特にクラミジアや淋病、梅毒の予防に効果があります。ただし、すべての人が服用できるわけではありません。
過去にDoxy PEPやテトラサイクリン系の抗生物質を服用したことでアレルギー反応が出た人や、肝臓病や腎臓病を患っている人、妊娠中や授乳中の人は服用できません。
効果
Doxy PEPは性感染症の感染リスクを減らすことができます。研究によると、Doxy PEPの適切な服用によって、性感染症になるリスクを約50%減らせる(9か月間で、Doxy PEPを服用しなかった方々の感染確率は42%、Doxy PEPを服用した方は22%)ことが示されました。また、梅毒を87%、クラミジアを88%、淋病を55%予防できたという研究もあります。
このように、Doxy PEPは性感染症のリスクを減らすことができますが、性感染症を100%防げるわけではありません。コンドームの適切な使用など、他の性感染症予防対策と組み合わせて使用することが重要です。
副作用
Doxy PEPは嘔吐や吐き気、下痢などの副作用が現れる可能性があります。ただし、すべての人に副作用が現れるわけではなく、程度には個人差があります。副作用が強く出る場合は、自己判断で服用を中止せず、医療機関を受診してください。
服用リスク
抗生物質であるDoxy PEPを繰り返し服用することで、薬剤耐性菌の出現リスクが高まる可能性があります。薬剤耐性菌が増えると抗生物質が効きにくくなり、必要な医療行為における抗生物質投与の効果が薄くなる可能性があります。
Doxy PEPの入手方法
Doxy PEPを入手するには、医療機関を受診し、医師の診察が必要です。医師は、病歴などを確認し、性感染症のリスクや症状に対してDoxy PEPの服用が適切かどうかを診断します。
医師の診察を受ける際には、過去の性感染症の経験や現在服用中の薬、アレルギーなどについて正確に伝えることが重要です。
Doxy PEPの入手費用
Doxy PEPの入手費用は、一般的に1回分 2,000〜2,200円程度です。医療機関によって価格設定が異なるため、実際の費用は各医療機関に確認してください。
Doxy PEPの服用方法
Doxy PEPは性行為の後、できるだけ早く(遅くとも72時間以内に)服用する必要があります。服用時はビブラマイシン200mgを水で服用します。用量、タイミングを守って服用することで、薬の効果を十分に得られます。
Doxy PEPの服用後の安全性と検査の必要性
ここでは、Doxy PEP服用後の安全性と検査の必要性について解説します。
服用後の性行為の安全性
Doxy PEPは服用タイミングや方法を誤ると、効果が十分に得られない可能性があります。医師の指示を受け、正しく服用するようにしてください。また、服用中・服用後もコンドームの使用など、他の予防策を組み合わせることでより感染リスクを抑えることができます。
服用後の性感染症検査の必要性
Doxy PEPは感染を完全に防ぐものではないため、服用後も性感染症の検査を受けることが大切です。検査を受けることで、服用前に既に感染していた場合や効果が十分に得られなかった場合でも、性感染症の早期発見、早期治療が可能になります。
検査を受けるタイミングは、Doxy PEPを服用してから4~6週間後がおすすめです。また、症状がない場合も、定期的に検査を受けることをおすすめします。症状の有無を問わず、心配なことがあれば早めに医療機関を受診し、医師に相談してください。
服用後に症状が出た場合
Doxy PEPを服用すると、吐き気や胃のムカムカ、下痢などの症状が現れることがあります。薬の副作用によって起こることもありますが、実は「性感染症にかかっちゃったかも…」という不安やストレスが原因となっているケースもあります。
吐き気がつらい場合、消化に良いうどんやおかゆなどを食べましょう。服用時間を寝る前に変更したり、市販の胃薬を飲んだりすることも有効です。
ただし、症状について自己判断はせず、市販薬を飲む場合は必ず医師や薬剤師に事前相談するようにしてください。
Doxy PEPの信頼できる情報源
国立国際医療研究センターをはじめとする公的機関や医療期間のWebサイトにはDoxy PEPについて信頼できる情報が掲載されています。その他のWebサイトにもDoxy PEPに関する情報は多々ありますが、中には信憑性に欠ける情報も少なくないことに注意してください。Doxy PEPについて正しい情報を得るためには、必要に応じて医師や薬剤師に相談することも検討してください。
よくある質問
Doxy PEPについて、以下によくある質問をまとめました。
Q1. Doxy PEPを服用すれば、必ず性感染症を予防できますか?
Doxy PEPは100%感染を防げるわけではありません。あくまで性感染症の発症リスクを減らすための方法の一つであり、感染リスクを70~90%減らすことができます。より感染リスクを抑えるためには、コンドームの使用など他の予防策と併用することが効果的です。
Q2. Doxy PEPはどうしたら入手できますか?
医療機関を受診し、医師の診察と処方が必要です。医師の診察を受ける際には、過去の性感染症の経験や現在服用中の薬、アレルギーなどについて正確に伝えることが重要です。
Q3. Doxy PEPは、いつまでに服用すれば効果がありますか?
性行為後、72時間以内(3日以内)にはビブラマイシンを200mg(100mgを2錠)を服用する必要があります。
Q4. Doxy PEP服用後に吐き気や胃の不快感がある場合、どうすればよいですか?
Doxy PEP服用後に吐き気や胃の不快感を感じる場合は、まず服用のタイミングを調整してみましょう。食事中や食後に服用すると症状が軽減されることがあります。
また、就寝前に服用することで、睡眠中に症状を和らげる可能性があります。水分を十分に摂取し、消化に優しい食事(おかゆやうどんなど)を心がけることも効果的です。
Q5. Doxy PEPを服用した後は、性感染症の検査は必要ですか?
Doxy PEPを服用した後も、定期的に性感染症の検査を受けることが大切です。Doxy PEPを服用してから4~6週間後の検査をおすすめします。症状や副作用、その他にも不安なことがあれば、医師や薬剤師に相談したり、信頼できる情報源から情報を得たりしましょう。
まとめ
Doxy PEPは、性行為後に性感染症のリスクを減らすことができる予防薬です。クラミジアや淋病などの細菌感染症に高い効果があります。性行為後、72時間以内(3日以内)にはビブラマイシンを200mg(100mgを2錠)を服用する必要があります。
Doxy PEPは抗生物質なので、服用後に吐き気や下痢などの副作用が出る可能性もあります。服用前に医師の診察を受け、正しく服用しましょう。また、服用してから4~6週間後に検査を受けることで、服用前の感染や効果が得られなかった場合でも性感染症を早期発見し、治療できます。
Doxy PEPは性感染症を100%防ぐわけではありません。服用後もコンドームの使用など、他の予防策と併用することで性感染症の感染リスクを抑えることができます。
参考文献
- Molina JM, Charreau I, Chidiac C, et al. Post-exposure prophylaxis with doxycycline to prevent sexually transmitted infections in men who have sex with men: an open-label randomised substudy of the ANRS IPERGAY trial. Lancet Infect Dis. 2018;18(3):308-317.
- Luetkemeyer AF, Donnell D, Dombrowski JC, et al. Postexposure Doxycycline to Prevent Bacterial Sexually Transmitted Infections. N Engl J Med. 2023;388(14):1296-1306.
- Jenness SM, Siegler AJ, Pines HA, et al. Potential impact of doxycycline post-exposure prophylaxis prescribing strategies on incidence of bacterial sexually transmitted infections. Clin Infect Dis. 2023;ciad524.
記事監修者
天野方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2016年より帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2022年4月東京都新宿区に「イーヘルスクリニック新宿院」を開院。複数企業の嘱託産業医としても勤務中。 日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。