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HIVの初期症状を見逃さない!感染の可能性と早期発見のコツ
あなたは身近な人が風邪のような症状を訴えていたら、どう思いますか? 風邪のような症状は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)の初期症状の可能性があります。HIV感染者の約半数は初期症状が現れないというデータも存在します。
HIVは、外敵から体を守るCD4陽性リンパ球の中で増殖しながら細胞を破壊し、免疫システムを弱体化させます。HIV感染者が、厚生労働省で定められた23種類の疾患のいずれかを発症した場合、エイズと診断されます。
HIVの初期症状は風邪とよく似ているため、見過ごされることがあります。本記事では、HIVの初期症状の特徴や感染経路、早期発見の重要性について詳しく解説します。 本記事を読むことで、早期発見や検査の重要性を認識できます。
当院では、性感染症からあなたとパートナーを守るための医療サービスを提供しています。PrEP、PEP、ドキシペップ、性感染症予防薬、ED治療薬、アフターピルなどをオンラインで処方可能です。夜間の診察をご希望の方は、ぜひ当クリニックをご利用ください。
HIV初期症状の5つの特徴
早期発見のため、正しく知っておきたいHIV初期症状の特徴は以下の5つです。
- インフルエンザに似た症状
- リンパ節の腫れ
- 皮膚の発疹
- 消化器系の不調
- 無症状の期間と個人差
インフルエンザに似た症状
HIVの初期症状は、インフルエンザによく似た症状が現れることがあります。38度以上の高熱や倦怠感、のどの痛み、頭痛、関節痛、筋肉痛などです。普段ならすぐに回復するような風邪でも、なかなか治らず、だるさが長引く場合、HIV感染の可能性も考慮に入れる必要があります。
風邪やインフルエンザの症状とよく似ているため、見過ごしてしまう可能性があります。風邪のような症状が2週間以上続く場合は、医療機関への受診をおすすめします。各症状の詳しい説明は、以下の表にまとめています。
症状 | 説明 |
発熱 | 38度以上の高熱が出ることもありますが、微熱が続く場合もあります。平熱が低い方は、普段より1度以上高い場合も注意が必要です。 |
倦怠感 | 体がだるく、何もする気力が起きない状態が続きます。普段の家事や仕事が辛く感じる、趣味を楽しむ気力がないといった変化に気をつけましょう。 |
のどの痛み | のどがイガイガしたり、痛みを感じたりします。食事や会話がしづらい、唾を飲み込むのが辛いなどの症状が現れることもあります。 |
頭痛 | 頭がズキズキしたり、重く感じたりします。普段経験する頭痛よりも強く、持続時間が長い場合、注意が必要です。 |
関節痛 | 関節が痛みます。特定の関節だけでなく、複数の関節に痛みが出て、痛む場所が移動する場合もあります。 |
筋肉痛 | 筋肉が痛みます。運動後に似た痛みや全身の筋肉が重だるく感じることもあります。 |
リンパ節の腫れ
リンパ節は、体中に張り巡らされた免疫システムの一部で、細菌やウイルスなどの異物から体を守る役割を担っています。リンパ節は、首やわきの下、足の付け根などに存在し、通常は触ってもわかりにくい大きさです。しかし、HIVに感染すると、リンパ節が腫れて、しこりのように触れるようになることがあります。
リンパ節の腫れは、痛みを伴うこともありますが、痛みがない場合もあります。風邪を引いたときにもリンパ節が腫れることがありますが、HIV感染によるリンパ節の腫れは、風邪の場合よりも長く続く傾向があります。1か月以上腫れが続く場合は、医療機関を受診しましょう。
皮膚の発疹
HIVに感染すると、皮膚に赤い斑点や小さな水ぶくれに似た発疹が現れることがあります。発疹は体全体に広がる場合もあり、かゆみを感じる場合もあります。
発疹はHIV感染以外にも、アレルギーや他の感染症など、さまざまな原因で起こります。発疹が出たからといって必ずしもHIVに感染しているとは限りません。しかし、他の症状と合わせて発疹が現れた場合は、HIV感染の可能性も考慮する必要があります。
消化器系の不調
HIV感染の初期には、下痢や吐き気、嘔吐などの消化器系の不調が現れることもあります。他の病気でよく見られる症状のため、HIV感染に特有の症状とは言えません。
消化器系の症状が他の初期症状と同時に現れた場合や長引く場合は、HIV感染の可能性を考慮し、医療機関を受診することが重要です。原因不明の下痢が1週間以上続く場合は、注意が必要です。
無症状の期間と個人差
HIVに感染しても、初期症状が現れるとは限りません。初期症状が現れたとしても、自然に消えてしまうことが多く、感染に気づかないまま過ごしてしまうケースもあります。HIV感染の初期症状は個人差が大きく、症状の種類や程度、持続期間などは人によって異なります。
急性期を過ぎると、無症候期(症状が現れない期間)に移行します。ただし、無症候期間であってもHIVは体内で増殖を続け、免疫機能に大切な細胞を破壊し続けるため注意が必要です。数年〜10数年かけてエイズ発症期へと進行していきます。
症状が軽く、すぐに治まってしまう場合もあるため、感染に気づきにくい点が、早期発見を難しくしている一つの要因です。HIV感染の可能性が少しでも頭をよぎったら、検査を受けることが重要です。
現在では、エイズ発症前にHIV感染を発見できれば、適切な治療によってエイズの発症を防ぐことが可能とされています。早期発見・早期治療によって、長く健康な生活を続けられる可能性が高まります。
HIV感染の可能性と早期検査の重要性
HIV感染の可能性について正しく理解し、早期検査の重要性を認識するため、下記のポイントを解説します。
- 感染経路とリスク要因
- 検査の種類と精度
- 検査を受けるタイミング
- 検査機関と相談窓口
- 早期発見・早期治療のメリット
感染経路とリスク要因
HIVは、主に以下の3つの経路で感染します。
- 性的接触
HIVに感染している人とコンドームなしで性行為をすることで感染します。膣性交、アナルセックス、オーラルセックスなど、あらゆる性行為で感染のリスクがあります。性行為の相手が多いほど、感染リスクは高まります。 - 血液感染
HIVに感染している血液が体内に入ることで感染します。注射針の共用や、医療従事者が針刺し事故を起こした場合などが該当します。かつては輸血による感染もありましたが、現在日本では徹底した検査体制が整っているため、輸血による感染は極めて稀です。 - 母子感染
HIVに感染している母親から、妊娠中や出産時、または授乳を通じて赤ちゃんに感染することがあります。適切な医療処置を受けることで、母子感染のリスクを減らすことが可能です。
感染経路とリスク要因を理解することは、HIV感染から身を守るうえで重要です。
検査の種類と精度
HIV検査には主に2つの種類があります。
- 抗体検査
血液中にHIVに対する抗体が作られているかを調べます。HIVに感染すると、私たちの体はウイルスに対抗するために抗体を作ります。抗体検査は抗体の有無を検出する検査です。感染から数週間〜数か月後に抗体が作られるため、感染初期には正確な結果が得られない場合があります。現在広く行われている検査方法であり、精度は高いです。費用も比較的安価で、多くの医療機関で実施されています。 - 核酸増幅検査(NAT)
血液中のHIV RNAを直接検出する検査です。ウイルスRNAは、ウイルスが増殖するために必要な遺伝物質です。NATは、ウイルスRNAを検出することで、感染の有無を判断します。
感染初期でもウイルスを検出できるため、早期の診断が可能です。抗体検査に比べて費用が高く、実施している医療機関も限られています。
どちらの検査も高い精度を持っていますが、特徴が異なるため、医師と相談して適切な検査方法を選択することが大切です。
検査を受けるタイミング
HIVに感染したかもしれないと不安に思う出来事があった場合、できるだけ早く検査を受けることが重要です。抗体検査で正確な結果を得るため、感染の可能性のある行動から4週間以降が推奨されています。感染の機会がなくても、定期的に検査を受けることで、早期発見・早期治療につながります。
複数の性交渉相手がいる場合や、コンドームを常に使用していない場合は、定期的な検査を検討しましょう。
検査機関と相談窓口
HIV検査は、保健所や医療機関で受けることができます。多くの保健所では、無料かつ匿名で検査を受けられます。検査費用や予約方法などは、それぞれの機関によって異なるため、事前に確認することをおすすめします。
HIV/AIDSに関する相談窓口も設けられています。検査を受けるべきか悩んでいる場合や、検査結果について誰かに相談したい場合は、相談窓口を利用してみましょう。専門の相談員が、あなたの不安や悩みに寄り添い、適切なアドバイスを提供してくれます。
早期発見・早期治療のメリット
HIVの早期発見・早期治療には、以下のメリットがあります。
- 効果的な治療開始
早期に治療を開始することで、免疫システムへのダメージを最小限に抑えることができます。
- 健康維持
早期治療により、HIV感染者も健康な状態を長く維持できる可能性が高まります。現在の抗HIV薬は効果的で、適切に服用すれば通常の生活を送ることが可能です。
- 感染拡大の予防
治療によりウイルス量を減らすことで、他者への感染リスクも低減できます。
- 合併症予防
エイズ関連の合併症や日和見感染症のリスクを減らすことができます。早期発見のためには、リスクのある行動をとった後や、心配な症状がある場合は、ためらわずに検査を受けることが重要です。
加えて、HIVの予防には「PrEP(暴露前予防)」という選択肢も有効です。以下の記事では、毎日服用する「デイリーPrEP」の効果や使用上の注意点について詳しく解説していますので、HIV予防に関心のある方はぜひご覧ください。
>>デイリーPrEPってどんな薬?毎日飲むHIV予防薬の効果と注意点を解説
HIV感染の予防と正しい知識
HIVは、早期発見と治療も大切ですが、まずは感染しないようにすることが最も重要です。自分自身だけでなく、大切な人を守るための適切な予防策と正しい知識として、以下のことを押さえておきましょう。
- 性行為における予防策
- 血液感染の予防策
- 母子感染の予防策
- 誤解されがちな感染経路
性行為における予防策
性行為における予防策で重要なのは、コンドームの装着です。コンドームは、ウイルスが体内に入るのを物理的に防ぐ役割を果たします。適切に使用することで、HIVを含む多くの性感染症の予防に効果的です。性行為の最初から最後まで、正しく使用することが大切です。途中で外れたり、破損したりすると、感染リスクが高まってしまいます。
コンドームの装着は、正しい使い方を知らない人も少なくありません。コンドームの先端にある小さな突起部分は精液を溜めるためのリザーバーと呼ばれる部分で、装着前に指で潰してしまうと、破損の原因になります。コンドームの素材は熱や摩擦に弱いため、直射日光の当たる場所や高温になる場所に保管すると、劣化しやすくなります。
性行為のパートナーを一人に限定することも、感染リスクを低減するうえで効果的な方法です。パートナーが一人であれば、感染経路を限定しやすくなるからです。定期的な性感染症検査を受けることで、感染の有無を早期に確認し、安心してパートナーと過ごすことができます。
血液感染の予防策
HIVは血液を介して感染することがありますが、適切な予防策を講じることで感染リスクを減らすことが可能です。
まれですが、道端に落ちているような注射器には触れないようにしましょう。タトゥーやピアスの施術時にも注意が必要です。衛生管理が徹底された施設を選んでください。
他人の血液に直接触れないことも大切です。自分がけがをしていると、傷口から感染する可能性もあります。
万が一、HIV感染の可能性がある状況に遭遇した場合には、「PEP療法(曝露後予防)」という選択肢があります。以下の記事では、PEP療法の効果や実施方法、副作用について詳しく解説していますので、緊急時の対応に備えてぜひご覧ください。
>>HIV感染が心配なあなたへおすすめのPEP療法!緊急予防法の効果・実施方法・副作用は?
母子感染の予防策
HIVに感染した母親から赤ちゃんへの感染を予防するために、さまざまな対策が取られています。妊娠中の抗レトロウイルス療法(ART)は、母子感染のリスクを減らすことができます。抗レトロウイルス薬は、HIVの増殖を抑える薬です。母親が服用することで、体内のウイルス量を減らし、赤ちゃんへの感染リスクを低減できます。
出産方法の選択も重要です。帝王切開は、経膣分娩に比べて母子感染のリスクを低減できるとされています。経膣分娩の場合、出産時に赤ちゃんの血液が母親の血液と接触する可能性があるためです。帝王切開では、接触を最小限に抑えることができます。
授乳方法も、母子感染に影響を与えます。HIVに感染した母親は、母乳を通して赤ちゃんにHIVを感染させる可能性があるため、人工乳(粉ミルク)で育てることが推奨されます。母乳には赤ちゃんにとって必要な栄養素が豊富に含まれていますが、HIV感染のリスクを考えると、人工乳で育てるほうが安全です。
誤解されがちな感染経路
HIVは、日常生活での接触では感染しません。握手やハグ、食器の共有、トイレの共用、蚊などの虫刺されなどで感染することはありません。HIVは感染力が弱く、体外に出るとすぐに感染性を失います。日常生活で感染する可能性は極めて低いので、過度に恐れる必要はありません。
初期のHIV感染において、抗レトロウイルス薬の効果は限定的です。ウイルスがHIVリザーバーと呼ばれる場所に潜伏してしまうためです。薬がどれだけ血液や細胞内、リンパ節に届いているかが重要で、特にテノホビルの細胞内濃度がHIV DNAの減少に大きく影響します。
暴露前予防(PrEP)はHIV感染予防に効果的ですが、まれに感染が発生し、薬剤耐性が現れる可能性があります。PrEP使用者は感染リスクが低減しますが、まれに感染が発生した場合、血清転換(抗体の検出)が遅れ、通常の抗体検査では正確な結果が得られないことがあります。
薬剤耐性は、主に感染初期にHIV RNA検査で感染を除外せずにPrEPを開始した場合に発生するため、PrEP開始前の感染確認が重要です。
こうした背景から、より柔軟に使用できる予防法として注目されているのが「オンデマンドPrEP」です。以下の記事では、オンデマンドPrEPの仕組みや使用方法、効果について詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
>>オンデマンドPrEPって何?HIV予防方法と使い方を徹底解説
まとめ

HIVは早期発見・早期治療が大切な病気です。初期症状は風邪と似ていて見逃しがちですが、感染の可能性を少しでも感じたら、ためらわずに検査を受けましょう。保健所では無料かつ匿名で検査でき、医療機関でも検査可能です。HIVは正しく予防すれば感染リスクを減らせます。
コンドームの正しい使用や清潔な注射針の使用、定期的な検査を心がけ、自分と大切な人を守りましょう。早期発見と適切な治療で、HIV感染後も健康な生活を送ることは可能です。安心して検査を受けられる環境と正しい知識を持つことが、HIVと適切に向き合いましょう。
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参考文献
Juan Ambrosioni, Elisa Petit, Geoffroy Liegeon, Montserrat Laguno, José M Miró.Primary HIV-1 infection in users of pre-exposure prophylaxis. The Lancet HIV, 2021, 8(3), e166-e174.
記事監修者
天野方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2016年より帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2022年4月東京都新宿区に「イーヘルスクリニック新宿院」を開院。複数企業の嘱託産業医としても勤務中。 日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。