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性病は治る?早期発見し適切な治療で健康を取り戻す方法を解説
性病は恥ずかしくて誰にも相談できないと悩んでいる人は多いです。怖い病気だと感じている人もいるでしょう。しかし、性病は適切な治療を受ければ、多くの場合は完治できます。厚生労働省のデータによると、近年、性病感染者は増加傾向で、若年層での感染が多く報告されています。
この記事では、性病の早期発見のための検査や治療法、種類や予防策などを解説します。記事を読めば、性病に関する疑問や不安を解消し、より健康的な性生活を目指すための情報が得られます。ぜひ最後までお読みください。
性病を早期発見するための検査
性病は早期発見して、適切な治療を行えば、ほとんどが完治できる病気です。放置してしまうと、症状が進行し重症化したり、不妊症などの後遺症が残ったりする可能性があるため、「もしかしたら・・・」と思ったら、医療機関を受診しましょう。
性病の検査方法には、主に以下のようなものがあります。
- 尿検査
- 血液検査
- 分泌物検査
- 拭き取り液検査(スワブ検査)
- 視診
- PCR検査
検査の種類は感染が疑われる病原体によって選択され、複数の検査を組み合わせて行う場合もあります。期間は、即日で結果が出るものから1週間程度かかるものまでさまざまです。
性病の再発対策と健康な性生活を送るための方法
性病は一度感染しても症状が治まれば、完治したと勘違いして再発することがあります。ここでは、性病を予防するために大切なポイントを5つ紹介します。健康的な性生活を送るために、正しい知識と予防策を知りましょう。
- コンドームの正しい使用
性行為の際に、始めから終わりまでコンドームを正しく使用することが最も効果的な予防法です。 - 定期的な検査
症状がなくても定期的に性状検査を受けることが重要です。 特に新しいパートナーとの関係が始まる前や、複数のパートナーがいる場合は検査を受けましょう。 - 性的パートナーの数を制限する
複数のパートナーとの性行為を避け、パートナーを1対1の関係に限定することで感染リスクを下げられます。 - 適切な衛生管理
性行為の前後は特に性器周辺の衛生管理を行うことも予防に役立ちます。 - 健康的な生活習慣
規則正しい生活を送ることで免疫力を高めることができます。
予防策を実践することで、性病の感染リスクを軽減できます。コンドームを正しく使用することで、HIV感染リスクを80%、クラミジアや淋菌感染症のリスクを50〜60%減らせると言われています。
性感染症の原因別対処法:細菌・ウイルス・寄生虫の違い
世界保健機関(WHO)の報告では、毎日100万人が性感染症に罹患していると言われています。性病は、早期発見し適切な治療を受けることで、多くは完治できる病気です。症状が出ていなくても、不安な場合は医療機関を受診しましょう。
性病を大きく分類すると細菌、ウイルス、寄生虫が原因として挙げられます。それぞれの治療法をまとめます。
細菌性の性感染症(クラミジア・淋菌感染症・梅毒など)
抗生物質を使用し、治療することが多いです。主な抗生物質として、アジスロマイシンやドキシサイクリンなどがあげられます。アジスロマイシンは1回だけ服用、ドキシサイクリンは1日2回、7日間服用するなど薬剤によって飲む頻度や日数は異なります。
ウイルス性の性感染症(尖圭コンジローマ・HIV・ヘルペス)
ウイルス性の感染症は、ウイルスを完全に身体から排除するのは難しいです。しかし、薬を正しく服用することで症状を抑え、再発を予防することができます。
ヘルペスは口唇や性器に水ぶくれが出来る病気ですが、アシクロビルという抗ウイルス剤を服用することで、症状の軽減や再発抑制の効果があります。
寄生虫による性感染症(トリコモナス症・疥癬)
寄生虫による性感染症の代表的なものとして、トリコモナス症と疥癬(かいせん)が挙げられます。どちらも適切な治療を行わないと自然治癒しにくく、パートナーにも感染する可能性があるため、早期の治療が重要です。
トリコモナス症の治療には、主にメトロニダゾールという抗原虫薬が用いられます。通常、経口投与で1回または数日間の服用を行います。重症の場合や経口投与が難しい場合は、膣錠の使用も選択肢となります2。治療期間は通常7〜10日程度ですが、症状や検査結果に応じて延長されることもあります。
疥癬の治療には、イベルメクチンなどの駆虫薬の内服や、ペルメトリンクリームなどの外用薬を使用します。通常、1週間おきに2回の治療を行い、症状や皮膚所見の改善を確認します。重症の角化型疥癬の場合は、より長期の治療が必要となることがあります。
どちらもパートナーの同時治療が再感染予防のために重要です。また、治療中は性行為を控え、完治するまで定期的な診察を受けることを推奨します。
性病の治療期間と費用について
性病の治療期間や費用は、病気の種類や症状、治療法によって異なります。費用に関しては、性病の検査や治療は健康保険が適用されないことがあります。しかし、症状がある場合やパートナーが性病にかかった場合は、保険診療で検査・治療を受けることができます。治療が必要な場合、ほとんどの性感染症は保険適用となることが多いです。
代表的な性病の症状と対処法
性病は、性感染症(STI)とも呼ばれ、性行為によって感染する病気の総称です。性病の多くは、細菌やウイルス、寄生虫など、さまざまな種類の病原体が原因で起こります。
ここでは主な性病の種類の症状や治療法をまとめます。
クラミジア感染症
原因菌としてクラミジア・トラコマティスがあります。自覚症状はないことが多いです。治療法としてアジスロマイシンやドキシサイクリンなどの抗生物質の内服を行います。
淋菌感染症(淋病)
原因菌は淋菌です。症状として、男性では膿が出ることがあります。女性では黄や黄緑のおりものが出ることがあります。治療法としてセフトリアキソンの筋肉内注射または点滴静注を行います。
梅毒
原因菌は梅毒トレポネーマです。梅毒の症状は、感染後の経過に応じて複数の段階に分けられます。感染から3週間〜3か月では性器や肛門、口の中にしこりができます。感染から3か月〜3年の状態になるとバラ疹と呼ばれる特徴的な発疹が全身に出現します。治療法として、ペニシリン系抗生物質の注射または内服を行います。
ヘルペス
原因は単純ヘルペスウイルスです。症状として、性器やその周辺に水ぶくれができます。治療法として、アシクロビルやバラシクロビルなどの抗ウイルス薬の内服を行います。
尖圭コンジローマ
原因はヒトパピローマウイルス(HPV)です。症状は、性器や肛門周辺にいぼができることがあります。治療法として、ベセルナクリーム(一般名:イミキモド)の外用薬の使用、液体窒素による凍結療法、電気メスによる切除があります。
これらの性感染症は、正しい診断と治療を受けることが重要です。症状がある場合や感染の可能性がある場合は、医療機関を受診することが推奨されます。
性病の感染リスクを高める要因
性病の感染リスクを高める要因としては以下のようなものがあります。
- コンドームを使用しない
- 複数のパートナーとの性行為
- 過去の性感染症罹患歴
- 若年層での知識不足や意識の低さ
- 衛生状態の悪さ
- アルコールや薬物の使用による判断力の低下
- 性感染症の症状の見落とし
これらのリスクを認識し、正しい予防策を取ることが性感染症のリスク低減につながります。安全性行為の実践、定期的な検査、パートナーとのオープンなコミュニケーション、そして性感染症の正しい知識の習得が重要です。
まとめ
性病は性行為を通じて感染する病気です。原因はウイルスや細菌、寄生虫などさまざまな病原体があります。代表的な性感染症には、梅毒、ヘルペス、クラミジア、尖圭コンジローマなどがあります。
性病は、早期発見と早期治療がとても重要です。適切な治療を受ければ、多くの場合は完治が目指せます。放置して症状が進行すると、重症化や不妊症の要因となる可能性もあります。性病の予防として以下の対策をおすすめします。
- コンドームの正しい使用
- 定期的な検査
- 性的パートナーの数を制限する
- 適切な衛生管理
- 健康的な生活習慣
性病について不安や疑問がある場合は、一人で悩まず、専門の医療機関や相談窓口を利用しましょう。
参考文献
- Vanbaelen T, Van Dijck C, Laumen J, Gonzalez N, De Baetselier I, Manoharan-Basil SS, De Block T and Kenyon C. Global epidemiology of antimicrobial resistance in commensal Neisseria species:A systematic review.. International journal of medical microbiology : IJMM 312, no. 3 (2022):151551.
- 性感染症 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
記事監修者
天野方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2016年より帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2022年4月東京都新宿区に「イーヘルスクリニック新宿院」を開院。複数企業の嘱託産業医としても勤務中。 日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。