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新宿予防クリニックブログ梅毒の予防と対策|感染経路から治療法まで徹底解説

梅毒の予防と対策|感染経路から治療法まで徹底解説

性感染症は多くの種類がありますが、梅毒は特に怖いと言われています。感染症発生動向調査によると、2024年10月時点では、梅毒感染者は横ばいで推移しているものの、感染率は依然として高い状態であるため、WHOも予防と制御に力を入れています。リスクについて正しく理解している方は少ないため、今後も増加する可能性が高いです。

本記事では、梅毒の感染経路や予防方法、初期症状、診断方法、治療方法などを詳しく解説します。正しい知識を身につけることで、梅毒の感染リスクを減少できます。感染への不安を抱えている方や予防策を知りたい方、安全な性生活を送りたい方におすすめです。

梅毒の感染経路は主に性行為

主な感染経路は、性行為(オーラルセックスやアナルセックスも含む)です。感染者の粘膜や皮膚の傷口に触れた際、目視できないほど小さな傷から、細菌が体の中に入ってしまいます。

間接的に触れてもうつる可能性は低いですが、性行為のように、粘膜や皮膚が直接触れ合う行為は感染のリスクが高いです。妊婦さんが梅毒に感染している場合、胎児に感染してしまう可能性があります。先天性梅毒と呼ばれ、胎児に深刻な影響を与えてしまうリスクが生じます。

梅毒の効果的な予防方法4つ

梅毒は性感染症の一つであり、適切な予防策を取れば、感染リスクを減らすことができます。ここでは、梅毒を予防するための4つの効果的な方法を詳しく説明します。

コンドームの正しい使用

コンドームを正しく使うことで、梅毒の感染リスクを下げることができます。使用期限を確認し、パッケージに破損がないか確認しましょう。根元までしっかりと装着し、使用後は精液がこぼれないように注意してください。オーラルセックスの際も、コンドームを使うことが大切です。コンドームは他の性感染症予防に対しても効果的です。

パートナーとのオープンなコミュニケーション

梅毒予防には、パートナーとの率直な対話が欠かせません。お互いの性感染検査の結果や性経験について、話し合いましょう。

新しいパートナーとの関係が始まる前に検査を受けましょう。複数のパートナーがいる場合は正直に伝え、安全な性行為の重要性について話し合うことが大切です。 

信頼関係を築いて、お互いの健康を守る意識があれば、梅毒などの性感染症のリスクを減らすことができます。

妊娠中の検査

妊娠中の梅毒検査は、母子ともに健康を守るために重要です。万が一検査で陽性反応が出た場合も、早期に適切な治療を受ければ、赤ちゃんへの感染リスクを減らすことができます。妊娠中に梅毒に感染すると、早産や先天性梅毒などのリスクがあるため、検査は必ず受けましょう。

定期的な検査

梅毒に感染した初期は無症状のこともあるため、定期的な検査が重要です。複数のパートナーがいる人は、年に1〜2回の検査を受けましょう。

定期的な検査を受けることで、早期発見・早期治療が可能になるだけでなく、自分の健康状態を把握できます。定期検査を習慣化することで、梅毒だけでなく他の性感染症の予防にも役立ちます。

梅毒の初期症状と診断方法

梅毒は初期段階では症状が軽く、しばらく無症状のこともあるので、早期発見が難しい性感染症です。ここでは、梅毒の初期症状とその特徴、そして診断方法について詳しく解説します。自分や大切な人の健康を守るために情報を正しく理解し、早期発見・早期治療につなげましょう。

梅毒の初期症状

梅毒は、性的な接触によって感染する病気です。感染初期は自覚症状が出にくいという特徴があり、症状が悪化してしまったり、気づかないうちに他人にうつしてしまう可能性があります。梅毒の初期症状を以下にまとめます。

性器にしこりができる

感染後約3週間後、細菌(梅毒トレポネーマ)が侵入した部分にしこりができます。性器や口唇、手指にできる傾向で潰瘍を伴うことがあり、硬性下疳(こうせいかげん)とも呼ばれます。とても硬くなっているものの、痛みを感じにくいため、気づかない人が多いです。

体に赤い発疹が出る

硬性下疳が消失した後、約数週間後には手のひらや足の裏を含め、全身に赤い発疹が現れます。かゆみなどの症状を伴わない場合もあるため、他の病気の症状と区別がつきにくいので注意が必要です。

他にも、ヘルペスやクラミジアなど、性感染症の症状と似ている場合があります。初期の梅毒は症状が判別しにくいので、症状が悪化しやすいです。自己判断せず、医療機関を受診して、医師の診察を受けましょう。

梅毒の診断方法

梅毒の診断は、主に血液検査が用いられ、医療機関や保健所などで受けることが可能です。特に妊婦さんの梅毒の感染率が高いため、WHOが予防と制御に力を入れています。検査施設を選ぶ際は、以下の2点を参考に選びましょう。

性感染症に詳しい医療機関を選ぶ

性感染症に力を入れているクリニックや病院を選ぶことで、専門的な検査や治療を受けられます。性感染症の検査は複数あるため、HIV等の他の感染症の検査も同時に行うことができます。

匿名で検査を受けられる施設を選ぶ

匿名で検査を受けられる保健所や医療機関も存在します。プライバシーが気になる方におすすめです。費用は医療機関により異なりますが、保険が適用されない場合はおよそ5,000~10,000円が目安です。

梅毒の治療方法と副作用

梅毒の治療はできるだけ早く正しい方法で行うことが重要です。ここでは、一般的な治療方法と、治療中に注意すべき点や副作用について詳しく解説します。

梅毒の治療方法

梅毒と診断された場合、できるだけ早く適切な治療を開始することが大切です。

一般的にペニシリン系の抗生物質が優先的に用いられます。梅毒の原因である梅毒トレポネーマという細菌を効果的に死滅させるためです。ペニシリンアレルギーがある患者には、ドキシサイクリンやテトラサイクリンなど別の抗生物質が処方されます

治療は筋肉注射や内服薬により行われ、梅毒の進行状況や症状に応じて投与方法や薬の種類、治療期間が決められます。

注意点と副作用について

治療中は、必ず医師の指示に従って薬を服用してください。自己判断で薬の服用を中止したり、服用量を変えると、治療が不完全となり、再発の可能性や薬剤耐性菌が発生するリスクが高くなります。

治療中に発疹や発熱、吐き気などのアレルギー反応や副作用が現れる場合があります。稀にアナフィラキシーショックなど重篤な副作用が出ることもあるため、異変を感じた場合は速やかに医師に相談しましょう。

梅毒の治療期間と費用の目安

治療の期間は、感染段階や症状、患者の健康状態によって異なります。早期の場合、1回のペニシリン注射で治療が完了することがありますが、進行した場合には数週間にわたる集中的な点滴治療が必要となることがあります。

治療費用は、医療機関や治療内容、保険の適用状況によって異なりますが、治療期間次第で治療費は大きく異なり、数千数万円が目安です

まとめ

梅毒は、性行為で感染する重大な病気ですが、早期発見と適切な治療で完治を目指せます。主なポイントは以下のとおりです。

・感染経路は主に性行為(オーラルセックス、アナルセックスを含む)

・予防にはコンドームの正しい使用が効果的

・初期症状は気づきにくいため的献身が重要

・診断には血液検査が必要

・治療にはペニシリン系抗生物質が使用される 

特に妊婦の感染は胎児にも影響するため、早期発見・早期治療が不可欠です。正しい知識と予防策で、安全な性生活を心がけましょう。

参考文献

・Wu S, Wang J, Guo Q, Lan H, Sun Y, Ren M, Liu Y, Wang P, Wang L, Su R, Zhang J, Chen Y and Li G. “Prevalence of human immunodeficiency virus, syphilis, and hepatitis B and C virus infections in pregnant women: a systematic review and meta-analysis.” Clinical microbiology and infection : the official publication of the European Society of Clinical Microbiology and Infectious Diseases 29, no. 8 (2023): 1000-1007.

急増する「梅毒」 母子感染のリスクがある妊娠中の症例を調査 前年の1.4倍に増加(国立感染症研究所) | ニュース | 保健指導リソースガイド (tokuteikenshin-hokensidou.jp)

性感染症 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)

感染症発生動向調査に基づく妊娠中の女性における梅毒の届出、2022~2023年 (niid.go.jp)

記事監修者

天野方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)

埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2016年より帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2022年4月東京都新宿区に「イーヘルスクリニック新宿院」を開院。複数企業の嘱託産業医としても勤務中。 日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。