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マンジャロ治療の失敗を防ぐ!効果が出ない原因と対処法を医師が解説
「マンジャロ」は、週1回の注射で、血糖改善効果と体重減少が期待できる薬です。期待を込めて治療を始めたのに「思うように効果が出ない」と不安や焦りを感じていませんか?
効果が出にくい原因は1つではなく、注射の打ち方や日々の生活習慣、ご自身の体が薬に慣れてきたサインの可能性があります。この記事では、マンジャロ治療がうまくいかない主な原因を解説し、効果を引き出すための具体的な対処法をお伝えします。
マンジャロ治療を「失敗」で終わらせないためにも、ぜひご自身の状況と照らし合わせてみてください。
新宿予防クリニックでは、医師が体質や生活習慣、ライフスタイルの目標に応じてマンジャロを用いた医療ダイエットをサポートしています。まずはお気軽にご相談ください。
>>新宿予防クリニック GLP-1医療ダイエット
マンジャロとはGIP/GLP-1受容体作動薬のこと
マンジャロは、2型糖尿病の治療で使われる薬です。週に1回、ご自身でお腹や太ももなどに注射をして使います。マンジャロの大きな特徴は、2種類のホルモンに働きかける点です。2種類のホルモンとは、GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)とGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)です。
GIPとGLP-1は、食事をすると小腸から分泌されるホルモンです。これらをまとめて「インクレチン」と呼びます。インクレチンは、血糖値が高いときにすい臓に働きかけ、血糖値を下げるインスリンの分泌を促します。マンジャロは、GIPとGLP-1の両方の作用を補う薬で、血糖改善効果が期待されます。
他にも、脳の食欲にかかわる部分に働きかけて、食欲を抑える効果が期待されます。胃の動きを緩やかにすることで、満腹感が持続しやすくなり、体重を減らす効果も期待できる薬です。
マンジャロ治療でよくある効かない原因
マンジャロ治療でよくある効かない原因を4つ解説します。
- 自己注射の方法・部位・タイミングを誤っている
- 食事制限や運動不足で薬効を打ち消してしまう
- 副作用のつらさで継続が難しくなっている
- ストレスや心理的負荷で生活習慣が乱れている
自己注射の方法・部位・タイミングを誤っている
マンジャロは週に1回、ご自身で皮下注射をする薬です。効果を感じにくい場合、注射の手順が正しくできていない可能性があります。薬が皮下脂肪にきちんと注入されないと、血中への吸収が不十分となり、効果が得られにくくなります。正しい注射方法のチェックリストは、以下のとおりです。
- 毎回、清潔な新しい針に交換しているか:使い回しは感染症のリスクを高め、針先が鈍り痛みの原因になる
- 注射ボタンを押す前に、針を皮膚にしっかり刺せているか:針が浅いと、薬が皮下にきちんと注入されない
- ボタンを押した後、そのまま10秒間数えているか:すぐに抜くと薬液が漏れ出て、正しい量の薬が体内に入らない
- 注射後、注射器の目盛りが「0」になっていることを確認しているか:目盛りが残っている場合、全量が注入できていない可能性がある
注射を打つ「場所」と「タイミング」も、効果を安定させるために重要です。注射する部位は、お腹や太もも、二の腕の後ろ側のいずれかです。毎回2〜3cmずつ場所をずらすことで、皮膚が硬くなるのを防ぎます。同じ場所に打ち続けると、皮膚が硬くなって薬が吸収されにくくなります。
注射するタイミングは、週に1回、決まった曜日に注射するのが基本です。薬の量を一定に保つことで、安定した効果が期待できます。ご自身のやり方に少しでも不安があれば、遠慮なく医師や看護師に相談し、正しい方法の指導を受けてください。
注射時の痛みを減らす工夫を知ることで、安心して治療を続けやすくなります。以下の記事では、マンジャロ注射で痛みを感じにくくするコツや打ち方のポイントを医師が詳しく解説しています。
>>マンジャロの注射は痛い?痛みの原因と軽減する打ち方のポイント
食事制限や運動不足で薬効を打ち消してしまう
マンジャロは食欲を抑え、少ない食事量でも満足感を得やすくする薬です。高カロリーな食事や運動不足は、薬の効果を打ち消してしまうため、以下のような生活習慣には注意が必要です。
- ジュースやお菓子などの間食がやめられない
- ラーメンや丼もの、揚げ物など、脂質や糖質の多い食事が好き
- 「薬を使っているから」と安心して、つい食べすぎてしまう
- エレベーターやエスカレーターを使い、階段は避けている
- 座っている時間が1日の大半を占めている
マンジャロの効果を引き出すには、薬の力と生活習慣の改善が必要です。
副作用のつらさで継続が難しくなっている
マンジャロの治療では、副作用が出ることがあります。治療の初期や、薬の量を増やしたときに見られやすいのが消化器症状です。マンジャロが胃の動きを緩やかにする作用を持つためです。治療初期にみられやすい副作用は、以下のとおりです。
- 吐き気、むかつき
- 便秘
- 下痢
- 食欲不振
これらの症状は、体が薬に慣れてくる数週間〜1か月で自然に和らぐことがほとんどです。症状が強くて食事がとれない、日常生活に支障が出るなどの場合は我慢せず医師に相談しましょう。栄養不足や脱水につながる危険もあります。副作用を和らげる薬を処方したり、マンジャロの量を調整したりして、安全に治療を続けましょう。
ストレスや心理的負荷で生活習慣が乱れている
心の問題も治療効果に大きく影響します。仕事や人間関係の強いストレスは、食生活の乱れにつながることが多いです。ストレスを感じると分泌される「コルチゾール」というホルモンは、食欲を増進させます。脳がエネルギー源として糖質や脂質を欲するため「ストレス食い」につながりやすいです。
ストレスは睡眠の質を低下させます。睡眠不足になると、食欲を高めるホルモン「グレリン」が増え、食欲を抑えるホルモン「レプチン」が減ってしまいます。日中の食欲コントロールがさらに難しくなるという悪循環に陥ります。
「早く結果を出さないと」「思うように体重が減らない」など、治療への不安が過食を引き起こすこともあります。ストレスによる食生活の乱れに心当たりがあるなら、医師に状況を相談しましょう。
マンジャロの効果を引き出す正しい対処法
マンジャロの効果を引き出す正しい対処法を、以下の5つ解説します。
- 注射の打ち方・タイミングを正しくする
- 吐き気や便秘をセルフケアで和げる
- 食事・運動習慣を整える
- 打ち忘れや遅れにすぐ対応する
- 医師と連携して治療を続ける
注射の打ち方・タイミングを正しくする
マンジャロを注射する場所は、皮下脂肪が厚いお腹(腹部)・太もも(大腿部)・腕のうしろ側(上腕部)の3か所が推奨されています。脂肪の層にしっかり薬を届けることで、効果が安定します。
毎回少しずつ場所をずらしながら(指2〜3本分くらいずつ)注射することが重要です。同じ場所に打ち続けると、皮膚の下が硬くなる「硬結(こうけつ)」になる可能性があります。硬くなった場所は、薬の吸収が悪くなり、効果が弱まる可能性があります。
マンジャロは、週に1回、決まった曜日に注射します。体の中の薬の濃度を、一定の範囲に保つためです。薬の濃度が安定することで、血糖コントロールや食欲抑制の効果も安定しやすくなります。食事の時間は気にする必要はありません。スマートフォンのアラーム機能を使ったり、カレンダーに印をつけたりするのがおすすめです。
マンジャロの効果を十分に得るためには、注射部位の選び方や打ち方の手順を正しく理解しておくことが重要です。以下の記事では、具体的な注射方法や注意点を医師が詳しく解説しています。
>>マンジャロの正しい打ち方を解説!注射部位の選び方と手順のポイント
吐き気や便秘をセルフケアで和げる
マンジャロの治療開始後、吐き気や便秘といったお腹の症状が出ることがあります。マンジャロが胃の動きをゆっくりさせる作用を持つためであり、薬が効き始めているサインの一つでもあります。体が薬に慣れるまでの間、以下のようなセルフケアを行いましょう。
| 対策 | 具体的な方法 |
| 食事の工夫 | ・少量ずつ何回かに分けて食べる ・脂っこい食事、香辛料の強いものを避ける ・消化の良い食事を選ぶ ・ゆっくり噛んで食べることを意識する |
| 生活の工夫 | ・体を締め付けない服装を心がける ・食後すぐに横にならず、30分ほどは座って過ごす |
| 便秘の対策 | ・水分を意識して、こまめに摂る(1日1.5リットルが目安) ・食物繊維の多い食べ物を食事に取り入れる ・ウォーキングなど軽い運動でお腹の動きを促す ・ヨーグルトなど発酵食品を取り入れる |
食事や水分がとれない場合は、早めに医師へ相談しましょう。必要に応じて症状を和らげる薬が処方されることもあります。
食事・運動習慣を整える
治療の効果を引き出すためには、食事と運動の習慣を見直すことが不可欠です。食事・運動習慣のポイントは、以下のとおりです。
| 生活習慣の見直し | 具体的な方法 |
| 食事 | ・主食(ごはんなど)、主菜(肉や魚など)、副菜(野菜など)をそろえる ・「野菜・きのこ類」→「肉・魚」→「ごはん」の順番で食べる ・間食や飲み物に注意する |
| 運動 | ・有酸素運動:ウォーキングなど1日10分多く歩く ・日常生活の工夫:エスカレーターを階段に変える、一駅手前で降りて歩く ・筋トレ:スクワット(大きな筋肉を鍛え基礎代謝を上げる) |
食物繊維を先に摂ることで、血糖値の急な上昇を穏やかにする効果が期待できます。糖分の多い飲み物は血糖値を乱す原因になるため、水やお茶を選ぶ習慣をつけましょう。食事や運動は、治療の土台となる大切な要素です。無理のない範囲で、できることから生活に取り入れていきましょう。
打ち忘れや遅れにすぐ対応する
週に一度の注射を打ち忘れても、慌てず正しく対応することが大切です。自己判断で対応すると、体に負担をかけることもあります。打ち忘れたときの対応ルールは以下の表のとおりです。
| 次の注射予定日までの期間 | 対応方法 |
| 4日(96時間)以上ある場合 | 気づいた時点ですぐに注射し、次回からは元の予定通りの曜日に注射する |
| 4日(96時間)未満の場合 | 忘れた分は注射せず、次の予定日に1回分を注射する |
忘れたからといって、2回分を一度に注射してはいけません。薬の血中濃度が急激に上がり、副作用や低血糖のリスクが高まります。注射の間隔は、必ず3日(72時間)以上あけるようにします。短い間隔で注射すると、薬が過剰に体内に蓄積され、副作用や低血糖のリスクが高まる恐れがあります。
医師と連携して治療を続ける
効果が出ない・副作用がつらい場合は、主治医との連携が重要です。診察の際には、以下のポイントをメモして医師に伝えることで、ご自身に合った治療法の調整がしやすくなります。
- 体の変化:体重の記録・副作用の症状(いつ・どんな症状か)・体調が良いと感じた日など
- 生活の様子:食事や運動でうまくいっていること・続けるのが難しいこと
- 気持ちの変化:治療に対する不安や疑問・ストレスに感じていること
ささいな気づきや不安が、治療方針を決めるための大切な情報になります。患者さんの状態に合わせて、薬の量を調整したり、副作用を和らげる薬を処方したりします。
マンジャロ治療を失敗しないための基本ポイント
マンジャロ治療を失敗しないための基本ポイントは以下の3つです。
- 治療の目標を明確にする
- 自己判断で中止・変更しない
- 医師との信頼関係を築く
治療の目標を明確にする
治療するうえで大切なことは「目標をはっきりさせる」ことです。具体的な目標がなければ、意欲を維持しにくくなります。具体的で達成可能な目標があると、そこに向かって進む力が湧きやすくなります。治療を通して「どんな自分になりたいか」、以下のような目標を設定することが重要です。
| 種類 | 具体的な目標の例 |
| 短期的な目標 (1〜3か月) | ・最初の1か月で体重を1〜2kg減らす ・血糖値の指標であるHbA1cを0.5%下げる ・毎日飲んでいたジュースを、週3回に減らす |
| 中期的な目標 (3〜6か月) | ・3か月でウエストを3cm減らす ・エスカレーターを階段に変えることを習慣にする ・野菜から先に食べる「ベジファースト」を定着させる |
| 長期的な目標 (6か月以上) | ・半年で目標体重を達成する ・好きなブランドの服をきれいに着こなす ・孫と公園で元気に走り回れる体力をつける |
短期目標は、達成感を得て治療へのモチベーションを高めるためのものです。中期目標は、改善した生活習慣を体に定着させる段階です。長期目標は、治療全体のゴールであり、皆さんの生活の質(QOL)そのものを向上させる目的となります。
無理のない計画を立て、小さな成功体験を一つひとつ積み重ねていくことが、自信につながります。
自己判断で中止・変更しない
薬の使用は必ず医師の指示に従うことが重要です。効果が感じにくいからといって自己判断で量を増やしたり、副作用がつらいからと中断したりすることは、体調の悪化や治療の失敗につながります。特に糖尿病治療中の場合、急な中止は血糖値の急上昇、増量は低血糖のリスクを高める恐れがあります。
薬の使い方を勝手に変えることで、副作用が強く出たり、効果が不安定になったりすることもあります。中途半端な使用は体が薬に慣れやすくなり、将来的に薬が効きにくくなる可能性もあります。医師は、あなたの体調や目標に合わせて処方を調整するため、どんな悩みもまずは医師に相談することが大切です。
まとめ
マンジャロの効果を引き出すには、薬の力に頼るだけではなく、食事や運動などの生活習慣の見直しと、医師との連携にあります。「思うように効果が出ない」と不安になったとき、自己判断で治療を中断したり、使い方を変えたりすることは避けましょう。体の変化や治療への不安を、主治医に相談することが大切です。
「薬に頼りすぎず、健康的な体を長く維持できること」がマンジャロ治療のゴールです。
新宿予防クリニックでは、医師が一人ひとりの体質・生活習慣・目標に合わせてマンジャロを用いたGLP-1治療をサポートしています。お悩みの方はお気軽にご相談ください。
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