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新宿予防クリニックブログゼップバウンドとマンジャロの違いとは?成分と効果の特徴を比較解説

ゼップバウンドとマンジャロの違いとは?成分と効果の特徴を比較解説

体重減少が期待される「ゼップバウンド」と「マンジャロ」。どちらが自分に適しているのか迷う方も少なくありません。両薬剤の有効成分は「チルゼパチド」ですが、承認された治療目的と保険適用の条件が異なります。違いを理解せずに薬剤を選択すると、全額自己負担となる可能性があります。

効果と適応、保険適用の条件を理解して使用するのが重要です。この記事では、ゼップバウンドとマンジャロの違い、保険適用の条件を解説し、自身の状況に合わせた選択方法を紹介します。正しい知識を得て、適切な薬を選ぶための判断材料として活用してください。

新宿予防クリニックでは、医師が体質や生活習慣、ライフスタイルの目標に応じてマンジャロを用いた医療ダイエットをサポートしています。まずはお気軽にご相談ください。
>>新宿予防クリニック GLP-1医療ダイエット

ゼップバウンドとマンジャロの違い

ゼップバウンドとマンジャロの主な違いとして「治療の目的」と「保険適用の条件」について解説します。

治療目的:肥満症と2型糖尿病

ゼップバウンドとマンジャロの大きな違いは治療する目的です。それぞれ以下のような違いがあります。

薬の名前適応症治療目的
ゼップバウンド肥満症体重減少
マンジャロ2型糖尿病血糖コントロール

ゼップバウンドの治療目的は、体重減少による肥満症の改善です。肥満症の患者を対象とした臨床試験で有効性と安全性が報告されています。医師の診断で適応があり、条件を満たす場合に処方されます。肥満症の改善を通じて、健康状態の向上を目指します。

マンジャロの治療目的は、血糖コントロールによる2型糖尿病の改善です。食事療法や運動療法で、十分な血糖管理が得られない場合に使用します。体重減少も期待できますが、主な目的は血糖コントロールです。

保険適用の条件

治療目的が異なるため、健康保険の適用条件も違います。マンジャロは、2型糖尿病の治療を目的として医師が処方する場合に保険適用となります。糖尿病治療以外の目的で使う場合は自由診療です。自己負担額に関わるため条件を確認しておくことが大切です

ゼップバウンドは、肥満症の治療薬ですが、患者の処方希望だけでは保険適用になりません保険適用には、国が定める条件を満たす必要があります。保険適用条件は以下のどちらかに当てはまる必要があります。

  • BMIが35以上
  • BMIが27以上で、かつ高血圧・脂質異常症・睡眠時無呼吸症候群などの肥満関連疾患を2つ以上併発している場合

BMIは体格指数で、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で算出します。健康障害を伴う肥満症は、保険適用となる場合があります。上記条件に当てはまらない減量目的の使用は自由診療です。適切な薬剤と保険適用の可否は、医師が診察して判断します。

適用可否の確認手順や自己負担の目安、自由診療との費用差を整理したい方は、以下の記事をご参照ください。
>>マンジャロは保険適用される?適用基準から月額費用まで専門医が徹底解説

ゼップバウンドとマンジャロの共通点

ゼップバウンドとマンジャロの共通点は、以下の3つです。

  • どちらも有効成分がチルゼパチド
  • GIPとGLP-1への作用
  • 週1回の自己注射ペン型デバイス

どちらも有効成分がチルゼパチド

ゼップバウンドとマンジャロは、いずれも有効成分として「チルゼパチド」を含む薬剤です。製品名や包装、使用目的は異なりますが、有効成分が同一のため、作用機序や副作用の傾向には共通点があります。チルゼパチドは、GIPとGLP-1の2つの受容体に作用し、臨床試験では平均20.9%の体重減少が報告されています。

ただし、それぞれの薬は適応症が異なるため、使用目的や処方条件は異なります。使用にあたっては、医師の診断と判断にもとづいて適切に選択することが重要です。

GIPとGLP-1への作用

チルゼパチドは、腸管由来ホルモンのGIPとGLP-1に作用します。両ホルモンは食後に分泌され、血糖調整や食欲に関与します。GIPとGLP-1の主な役割は以下のとおりです。

ホルモン主な働き
GIP・血糖に応じたインスリン分泌の促進
・脂肪細胞に作用し、エネルギー代謝へ関与
GLP-1・血糖値の高さに応じたインスリン分泌の促進
・脳への作用による満腹感の維持
・胃排出の遅延による食事量の抑制

チルゼパチドはGIP受容体とGLP-1受容体に結合し、両経路を活性化します。1剤で2経路に作用するため「デュアルGIP/GLP-1受容体作動薬」と呼ばれます。2経路の活性化により、食欲の抑制と血糖の改善が期待できます。

週1回の自己注射ペン型デバイス

ゼップバウンドとマンジャロは、週1回の自己注射で使用します。ペン型注射器(デバイス)に薬剤が充填され、患者が自宅で安全に扱える設計です。主な特徴は次のとおりです。

  • 操作が簡単
  • 自動投与で針刺入の手動操作が不要
  • 極細針で痛みを感じにくい設計(個人差あり)
  • 投与が週1回

使用手順と器具仕様は両薬剤で共通です。投与曜日や部位は医師と相談し、生活に合わせて設定しましょう。

効果・副作用・使い方の比較

ゼップバウンドとマンジャロの比較ポイントは次の3つです。

  • 体重減少・血糖改善の臨床データ
  • 副作用(吐き気・下痢・便秘など)
  • 投与スケジュール

体重減少・血糖改善の臨床データ

ゼップバウンドとマンジャロは、適応症が異なるため、検証対象も異なります。薬の効果は以下のとおりです。

対象者研究結果
ゼップバウンド肥満症または過体重の方・72週間で、平均-20.9%体重減少
マンジャロ2型糖尿病・40週間で、平均2.4%血糖値(HbA1c)低下
・40週間で、平均-13.1kg体重減少

ゼップバウンドは大幅な体重減少が報告されていますマンジャロは血糖改善に加え、体重減少も報告されています。条件や対象が異なるため、単純比較はできませんが、どちらも効果が示されています。

副作用(吐き気・下痢・便秘など)

ゼップバウンドとマンジャロは有効成分が同一のため、副作用の傾向は共通しています。頻度が高いのは吐き気や下痢、便秘などの消化器症状です。両薬剤が持つ胃の動きを緩やかにする作用によって起こります。

治療初期や、薬の増量後に症状が現れやすい傾向があります。治療の継続に伴い身体が順応し、症状が軽減する方が多いですが、程度には個人差があります。症状を和らげる工夫は以下のとおりです。

  • 一度に多量に食べず、少量に分けて食べる
  • 脂っこい料理や香辛料の強い料理は控える
  • 脱水予防のためこまめに水分補給する

症状が続く場合は、我慢せず医師や薬剤師に相談しましょう。頻度はまれですが、急な強い腹痛や背部痛、発疹、呼吸困難がある場合は、急性膵炎やアナフィラキシーの疑いがあります。速やかに医療機関を受診してください。

投与スケジュール

ゼップバウンドとマンジャロは、週1回の皮下注射を自身で行います。治療は少量から開始し、4週間以上の間隔で段階的に用量を上げていきます。急な増量は不調の原因になるため、医師と相談のうえ計画的に進めましょう。増量の目安は以下のとおりです。

  • 開始(1か月目):週1回2.5mgを4週間継続
  • 2か月目:医師の判断で週1回5mgへ
  • 以後:効果と副作用を確認し、4週間以上あけて2.5mg刻みで調整

用量は、患者の状態に合わせて医師が判断します。効果が実感できないからといって、自己判断での増量や回数を増加させることは避けましょう。毎週同じ曜日に薬を投与すると、効果の安定につながります。スマートフォンのカレンダーやリマインダー機能を活用して、管理するのがおすすめです。

治療開始前に知っておきたい注意点

治療開始前に確認すべき注意点は以下の2つです。

  • 自由診療・保険診療における費用の目安
  • 治療を中断した場合のリバウンドリスク

自由診療・保険診療における費用の目安

ゼップバウンドやマンジャロの費用は「保険が使えるかどうか」で大きく異なります。保険が使えると1〜3割の自己負担で済みますが、条件に当てはまらない場合は自由診療となり、全額自己負担になります。

保険診療では約5,000〜15,000円程度自由診療では約30,000〜80,000円程度と、費用に大きな差があります。治療費には薬代のほか、診察料や検査料も含まれるため、事前に医療機関で総額を確認しておくことが大切です。

治療を中断した場合のリバウンドリスク

ゼップバウンドやマンジャロは、食欲の抑制や血糖コントロールを通じて体重管理をサポートする薬剤です。自己判断で治療を中断すると、食欲が再び強まり、体重が徐々に元に戻る「リバウンド」のリスクが高まります。特に生活習慣が整っていないまま治療をやめた場合、その傾向は強くなります。

中断の際には、医師の指導のもとで減薬や生活習慣の見直しを行うことが重要です。リバウンドを予防するための具体的なポイントは以下のとおりです。

  • 中断前に必ず医師に相談し、計画的に減薬を行う
  • 食事は野菜やたんぱく質を中心に、バランス良く継続する
  • ウォーキングや筋トレを取り入れる
  • 筋肉量を維持することで、基礎代謝の低下を防ぐ
  • 中断後も健康的な生活習慣を意識し続ける

マンジャロを中断した際の体重変化やリバウンドリスクの詳細については、以下の記事で医師が詳しく解説しています。治療後の経過を理解し、安心して継続・終了を判断するための参考になります。
>>マンジャロをやめたらどうなる?中断後の体重変化と注意点を医師が解説

他のGLP-1受容体作動薬(オゼンピックなど)との比較

他のGLP-1受容体作動薬である「オゼンピック」や「リベルサス」の違いは、以下のとおりです。

薬剤名(有効成分)作用するホルモン投与方法特徴
・ゼップバウンド
・マンジャロ
(チルゼパチド)
・GIP
・GLP-1
週1回の皮下注射GIPとGLP-1の2経路に作用
オゼンピック
(セマグルチド)
GLP-1週1回の皮下注射GLP-1に特化
リベルサス
(セマグルチド)
GLP-11日1回の経口薬経口摂取が可能

適切な薬剤は、患者の健康状態や目標、投与形態の希望により異なります。薬剤の特徴を理解し、効果や安全性、費用など、医師と相談し適切な治療方法を選択しましょう

以下の記事では、マンジャロとオゼンピックの特徴を比較し、選択のポイントを解説しています。
>>マンジャロとオゼンピックの違いを比較!効果と副作用の特徴を解説

まとめ

ゼップバウンドとマンジャロの成分は共通ですが、適応は肥満症と2型糖尿病で異なります。保険適用の可否や特徴を理解すれば、費用や治療の見通しが立てられます。薬剤選択は健康状態やBMIで変わるため、医師と適応や保険条件などを確認しましょう。

中断する際は、自己判断は避けて医師と減薬計画を立て、食事や運動、睡眠などの生活習慣を整えると体重の維持につながります。週1回の自己注射や増量、減量の手順を把握し、無理のない安全な治療を目指しましょう。副作用への対処も事前に知っておくことで安心して治療に取り組めます。

新宿予防クリニックでは、医師が一人ひとりの体質・生活習慣・目標に合わせてマンジャロを用いたGLP-1治療をサポートしています。お悩みの方はお気軽にご相談ください。
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参考文献